このピンク色を出せますか?とよく皆さんが尋ねられますが、この画像のような淡いピンク色の斑点のことを御本が出ている、と言います。このピンクは絵の具や釉薬にある顔料によるものではなく、還元焼成によって現れる窯変のひとつです。では、どのように焼けば必ず出るのか、という確たるものはないのですが、こんぺい陶では、萩土や赤土に白化粧をして透明系の釉を掛け、還元焼成すると出やすいです。また、その時々の窯の詰め具合や粘土、釉薬の原料、還元ガスの微妙な量によって、かなり変化がありますが、それも焼き物の面白さと言えるでしょう。この御本手(ゴホンテ、ゴホンデともいう)の名前の由来は、安土桃山時代から、江戸初期にかけて日本で大人気だった高麗茶碗、赤い斑点が出ている、お茶碗を御手本として、朝鮮で焼いてもらったところからきているそうです。現在の日本では萩焼や朝日焼が有名です。作る、使うだけでなく、焼きものについて、日本史、世界史にも目を向けると、さらに深く世界が広がります。